プロジェクトスコープマネジメント

プロジェクトスコープマネジメント

図2:プロジェクトのWBSの例

図2:プロジェクトのWBSの例


目次


スコープとは

プロジェクト活動においては、予算や期間、用いることができる資源(人・物)には制限があるので、最初にどんな項目をどこまでやるのか(活動の範囲と達成目標)を明確にしておくことがプロジェクトを成功に導く鍵となる。
PMBOKガイドでは、このようなプロジェクトの活動範囲と、達成すべき成果物の仕様をまとめてスコープと呼んでいる。
プロジェクトスコープマネジメントは、このスコープを定義し、プロジェクト遂行に必要な作業を過不足なく洗い出していく作業である。
定義したスコープは、プロジェクトスコープ記述書に記載する。
   

WBS(Work Breakdown Structure)

WBSは、プロジェクトの遂行に必要になる全ての項目を、大きな分類から細かな分類にまで段階的に順次分割していくことで明らかにする手法である。
PMBOKガイドでは、WBSを用いて作業を分解した時に最下層となる作業管理の最小単位のことを、ワークパッケージと呼んでいる。また、ワークパッケージに含まれる作業項目をアクティビティと読んでいる。
実際に行う作業としては、最初にワークパッケージごとに、プロジェクトの遂行に必要な人員や工数、費用などを検討し、さらに全てのワークパッケージをトータルして、課せられた制約条件の中の範囲へと調整していく。
   
WBSの作成のステップ
  • プロジェクトの目的の確認
プロジェクトの目的や目標を明確にする。これは、WBSの最上位の要素となる。
  • 主要な成果物の特定
プロジェクトで達成すべき主要な成果物やサブ成果物をリストアップする。
  • 成果物の分解
主要な成果物をさらに具体的なタスクや活動に分解する。この分解は、個々のタスクが具体的、管理可能、かつ完了の基準が明確になるレベルまで行う。
  • WBSの階層の作成
タスクや活動を階層的に整理し、WBSの構造を作成する。通常、WBSはツリー構造や図表で表現される。
  • WBSコードの割り当て
各タスクや活動に一意の識別コード(WBSコード)を割り当てる。これにより、プロジェクトのスケジュールやコストの追跡が容易になる。
  • WBSの確認
ステークホルダーやプロジェクトチームと共にWBSを確認し、必要な変更や調整を行う。
  • WBS辞書の作成
WBS辞書は、WBSの各要素に関する詳細な情報を提供する文書である。これには、タスクの説明、責任者、必要なリソース、関連する成果物やドキュメントなどの情報が含まれる。
 
PMBOKガイドにおけるWBSの作成は、プロジェクトのスコープを明確にし、プロジェクトの進行を効果的に管理するための基盤を提供する。WBSは、プロジェクトの計画、実行、監視、制御の各フェーズで使用され、プロジェクトマネジメントの中心的なツールとして機能する。
   
ベースライン
プロジェクトマネジメントにおけるベースラインとは、正式に承認された計画書のことで、プロジェクト進行中に現状と計画を比較するための基準となるものを指す。
例えば、スコープベースラインでは次のの3つをベースラインとして用いる。ほかにも「コストベースライン」や「スケジュール・ベースライン」等がある。
 
  • プロジェクトスコープ記述書
  • WBS
  • WBS辞書
   
WBS辞書
WBSの作成では、対になるWBS辞書も同時に作成される。
WBS辞書は、WBSの内容をより詳しくしたもので、WBSの枝となる各作業の階層を示して識別するWBSコード(下図の中に付された1.1などの数字)や、枝分かれする部分の各枝の定義、それぞれの作業内容の定義、担当者、、などが記載されている。
図2:プロジェクトのWBSの例

図2:プロジェクトのWBSの例

   
スコープクリープ(scope creep)
スコープクリープとは、プロジェクト当初に定義したスコープの範囲を超える作業が、気が付かないままに発生することである。具体的には、日程・予算・人員などの変更追加をきちんと検討しないままに、次々と追加されてしまっている状態を指す。
   

参考文献・引用元

このサイトのテキストは一部以下の著作・出版物・Webサイト等より引用させて頂きました。
 
システム開発のためのWBSの作り方(日経BP Next ICT選書) Kindle版 初田 賢司 (著)
 
改訂7版 PMプロジェクトマネジメント PMBOK®ガイド対応 単行本 – 2022/3/25 中嶋 秀隆 (著)
 

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