プロジェクトコストマネジメント

プロジェクトコストマネジメント

目次



プロジェクトコストマネジメントとは

プロジェクトコストマネジメントとは、定められた予算内でプロジェクトを完了させることためのマネジメント活動のことである。
 
主な活動は大きく分けて2つある。
 
  1. プロジェクト活動に必要なコストの見積り
  2. プロジェクト活動中のコスト管理
 
近年ではAIによる自動化がある程度達成され、プログラムの一部を自動生成するツールなども使われているが、システム開発ではエンジニアが直接手掛ける作業がまだ多く残っている。
 
そのため、人件費などの計算の基となる「工数」をどれだけ正確に見積もれるかが、開発プロジェクトのコスト管理の鍵となっている。
   
工数の見積単位
工数とは、ある作業を完了させるために必要な時間数のことである。
 
工数を表す単位として、人日や人月を用いる。
 
  • 人日
  • 「ひとりの担当者がその作業を終えるのに何日必要か」を表す。

  • 人月
  • 「ひとりの担当者が完了するのに何か月必要か」を表す。

例えば、ある作業に5人日必要ならば、1人のエンジニアが作業すれば5日間かかることになる。同じ作業を5人のエンジニアを投入して行えば、1日で完了するという計算になる。
   

コストの見積手法

トップダウン見積もり
類似例などから新システム全体の工数やコストを推測し、その総量からそれぞれの作業に工数やコストを割り振っていくという「全体→細部」方式である。
 
この方式の代表的な手法として類推見積法がある。
 
ボトムアップ見積もり
トップダウン見積もり法とは逆に、それぞれの作業にかかる工数やコストを最初に見積もり、それらを合算することで新システム全体の工数やコストを計算していく「細部→全体」方式である。
 
代表的な手法として標準タスク法がある。
   

代表的なコストの見積もり手法

類推見積法
過去に行った類似するシステムの開発を基に、新システムとの相違点などを分析して、必要な工数とコストを見積もる手法。
標準タスク法
WBSの最小単位であるワークパッケージや、さらに小さく作業を分割したアクティビティの一つひとつから工数とコストを予測し、それらを積み上げていくことで、新システム全体にかかる工数やコストを見積もる手法である。
プログラムステップ法(LOC法)
新システムで開発するそれぞれのプログラムの、完成時の「ステップ数」を予測する。すべてのプログラムの総ステップ数から、工数やコストを見積もる手法である。
 
LOC(Lines Of Code)法とも呼ばれる。
 
  • ステップ数
  • 一般的にステップ数は、作成するプログラムのソースコードの行数を指す。

    プログラムが長くなるほど、またシステムに含まれるプログラムの数が多いほど、設計やコーディング(プログラミング)には時間がかかる。

    そのため、ステップ数は工数やコスト計算の目安として用いられる。

ファンクションポイント法(FP法)
ファンクションとは「機能」のこと。FP法では、プログラムに含まれる機能の数や、その機能の複雑度などから、工数やコストを見積もる手法である。
 
機能そのものに注目するため、非エンジニアでもわかりやすく、ユーザー自身が見積もることも可能である。
 
  • FP法におけるFP値の計算方法
    1. プログラムに含まれる機能を種類ごとに分類
    2. 機能の種類ごとに「個数✕重み」を計算して、FP値を算出
    3. 全機能のFP値を合計
    4. FP値の合計に補正係数を掛け合わせて、プログラム全体のFP値を算出
  • FP法の5つの機能分類
  • この5つの機能は「ユーザーファンクションタイプ」と呼ばれる

    1. 内部論理ファイル
    2. プログラムが扱うデータや制御情報のまとまりのこと。作成・更新・削除を、このプログラム自身が行う

    3. 外部インターフェースファイル
    4. ほかのプログラムやユーザーから入力されたデータや制御情報のまとまりのこと。

    5. 外部入力
    6. 外部インターフェースファイルを受け取り、これによって内部論理ファイルの作成・更新・削除などをおこない、ほかのプログラムや装置などに出力する機能。

    7. 外部出力
    8. プログラムが内部論理ファイルの作成・更新・削除などを行い、他のプログラムや装置などに出力する機能。

    9. 外部照会
    10. 外部インターフェースを参照する機能。参照した情報を単に画面に出力したり、他のプログラムへと渡す機能で、内部論理ファイルの書き換えは行わない。

   

三点見積法

三点見積法は、項目ごとに3通りの値を予測し、それぞれに重みを掛けて見積値を算出する方法。
 
  1. 作業がうまく進んだ場合(楽観値)
  2. いつものペースで完了できた場合(最頻値)
  3. いろいろあって進みが遅くなった場合(悲観値)
 
この3つの想定値で工数を予測することでより正確な見積値を算出することが出来る。
   

COCOMOⅡ(COnstructive COST MOdelⅡ:ココモ2)

COCOMOⅡは、予測されるソースコードの総行数に、「プログラムの特性、用いるハードウエアの特性、プロジェクトマネージャやエンジニアのスキル…」などの補正係数を掛けて、工数やコストを見積もる手法。
 
元々のCOCOMOは行数に特定の係数を掛けるだけの単純な見積もり方法で、企画・設計や成果物の検証工程なども含む見積はできなかった。
 
そこで、FP法などの概念を取り入れることで、開発の全工程の見積もりが可能なCOCOMOⅡへと改良された。
   

参考文献・引用元

このサイトのテキストは一部以下の著作・出版物・Webサイト等より引用させて頂きました。

ITプロジェクトの無駄を排除する ロスコストマネジメント実践ノウハウ 初田 賢司 (著)

改訂7版 PMプロジェクトマネジメント PMBOK®ガイド対応 単行本 – 2022/3/25 中嶋 秀隆 (著)
 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です