プロジェクトマネジメント

プロジェクトマネジメントについて

図1:PDCAサイクル

図1:PDCAサイクル

目次



プロジェクトとは


プロジェクトとは、特定の目的を達成するために組織され、実施される活動のことである。また、プロジェクトはその目的を達成した時点で終了となり、参加したメンバーも解散になる。どのようなプロジェクトも、まず目標を立て、それを実現するために方法を計画し、実行していく。

 

プロジェクトのPCDAサイクル
ひとつのプロジェクトは、いくつかのフェーズに分けられる。そして、1つのフェーズは「計画→実行→点検→処置」というサイクルで進めていき、全体のプロジェクト終了までに、このサイクルを繰り返していく。
このサイクルをPDCAサイクルという。(Plan-Do-Check-Act)

 

図1:PDCAサイクル

図1:PDCAサイクル

 

  • ISO 21500
  • ISO 21500は、プロジェクトマネジメントの国際標準として2012年に発行された。
    プロジェクトマネジメントの概念、行うべきプロセス(PMBOKガイド)が提示されている。
    PMBOKの策定者である米国プロジェクトマネジメント協会も策定に参画していて、ISO 21500とPMBOKは相互に共通する内容となっている。

 

  • マトリックス組織
  • ISO プロジェクトメンバーが、従来からの部署に所属したまま、プロジェクトにも所属する形態をとることがある。
    この複数部署に同時に所属する組織形態を、マトリックス組織という。

 


PMBOKガイド

 

PMBOK(Project Management Body of Knowledge)ガイドは、プロジェクトマネジメントのベストプラクティスをまとめた標準ガイドブックである。このガイドは、米国プロジェクトマネジメント協会(PMI)によって公開され、プロジェクトマネジメントのプロフェッショナルの間で参考書として広く利用されている。

 

PMBOKガイドの主要な内容は以下の通りである。

 

プロジェクトマネジメントの5つのプロセス群
  1. イニシエーション(開始)
  2. これから行うフェーズ(段階)を定義し、フェーズの開始許可を得る。

  3. プランニング(計画)
  4. フェーズで行うべき範囲と目標を定義し、作業の流れを計画する。

  5. 実行
  6. 計画に基づき作業を実行していく。

  7. 監視・コントロール
  8. プロジェクトが計画通りに進行しているか監視し、必要に応じてコントロールする。

  9. クロージング(終了)
  10. 作業結果を検証・報告し、終了の了承を得る。また、ドキュメント類を整理し保管する。

 

作業結果を検証・報告し、終了の了承を得る。また、ドキュメント類を整理し保管する。また、プロジェクトの活動では、コストや日程以外にも、様々な視点からの管理(プロジェクトマネジメント)は必要になる。

 

PMBOKガイドでは、行うべき管理活動を次の10項目の知識エリアに分けて整理している。

 

  1. プロジェクト統合マネジメント
  2. プロジェクトスコープマネジメント
  3. プロジェクトスケジュールマネジメント
  4. プロジェクトコストマネジメント
  5. プロジェクト品質マネジメント
  6. プロジェクトリソースマネジメント
  7. プロジェクトコミュニケーションマネジメント
  8. プロジェクトリスクマネジメント
  9. プロジェクト調達マネジメント
  10. プロジェクトステークホルダーマネジメント

 


各知識エリアには特定のプロセスが関連付けられており、これらのプロセスはプロジェクトのライフサイクル全体で使用される。

 

ISO 21500のサブジェクトグループ
PMBOKガイドで定義している知識エリアを、ISO 21500では「サブジェクトグループ」と呼ぶ。ただし、各サブジェクトグループの名称やその管理活動の内容は、PMBOKガイドの知識エリアとほぼ同様である。
PMBOKガイドの資源マネジメント
PMBOKガイドの知識エリアでは、プロジェクト活動に必要な資源を人と物とに分け、人的資源要員はプロジェクト人的資源マネジメント、機材やソフトウエアなど物的資源はプロジェクト調達マネジメントとして扱っている。
PMBOKガイドの目的
PMBOKガイドの目的は、プロジェクトマネジメントのフレームワークを提供することである。具体的な業界やプロジェクトタイプに特化した方法論ではないが、多くの組織やプロジェクトマネジャーは、このガイドを基盤に独自のプロジェクトマネジメント手法やテンプレートを開発している。PMBOKガイドは定期的に更新され、最新のベストプラクティスやトレンドを取り入れている。

 


プロジェクト統合マネジメント


プロジェクト統合マネジメントでは、プロジェクト全体の統括的な管理・調整を行う。また、プロジェクト統合マネジメントとは、プロジェクトの多様な要素を統一的に調整し、効果的に進行させるための手法やプロセスである。以下、その主要な要点を述べる。

 

  1. プロジェクト計画の策定
  2. プロジェクトの目的、範囲、期間、予算、リソースを明確に定義し、計画を策定する。この計画は、プロジェクトの方向性や進行の基盤となる。
  3. プロジェクトの実行
  4. 計画に従い、各タスクや活動を実行する。この段階では、リソースの配分やスケジュールの調整が行われる。
  5. 監視とコントロール
  6. プロジェクトの進捗を定期的に監視し、計画との乖離を確認する。乖離が見られた場合、適切な修正や調整を行う。
  7. 変更管理
  8. プロジェクト進行中に生じる変更要求を適切に管理する。変更の影響を評価し、必要に応じて変更を実施する。
  9. プロジェクトの終了
  10. プロジェクトの目的が達成された場合、または終了の理由が生じた場合、プロジェクトを終了する。この際、成果物の受け渡しや終了報告の作成が行われる。
  11. リスク管理
  12. プロジェクトに潜むリスクを特定し、それを評価する。そして、リスクに対する対策を策定する。
  13. ステークホルダーの管理
  14. プロジェクトに関わる関係者とのコミュニケーションや関係性を維持・管理する。

 


プロジェクト統合マネジメントは、プロジェクトの成功を実現するための鍵である。各フェーズや活動を適切に統合し、調整することで、プロジェクトを円滑に遂行することが可能となる。

 

仕様変更時の対応

プロジェクト統合マネジメントの活動の中で最も難しいのは、変更時の対応である。以下を例にして段階的に対応の流れを追ってみる。

 

  1. 変更要求の受付
  2. 変更を申し出るユーザー(またはシステムの発注者)は、変更内容や変更理由について文書で提出し、変更管理の担当者が受け付ける。
  3. 変更要求の評価
  4. 変更に伴う開発工程の影響や、変更しなかった場合の業務への影響などを検討する。
    決定権を持つ会議や責任者らが、承認または却下する。
  5. 変更の指示
  6. 承認された変更要求は、WBSなどを用いて再度必要な作業を洗い出し、プロジェクトコストマネジメントやプロジェクトタイムマネジメントなど、影響がある知識エリアの計画を修正・更新する。
  7. 変更の反映
  8. 変更指示を受けた開発担当者は、指示に従い仕様変更を実施する。

 

プロジェクト憲章とプロジェクトマネージャ
開発プロジェクトのスタート時には、プロジェクト憲章を策定する。

 

  • プロジェクトの目標や成果物
  • プロジェクトで行うべき範囲
  • プロジェクトのルール
組織の経営者からプロジェクト実施の正式な認可を得たことを示す文書でもあり、プロジェクトマネージャーはプロジェクトによって公に任命される。

 

プロジェクトマネージャの役割
プロジェクトマネージャーは、システム開発の納期・予算・成果物の品質について管理を行う責任者であるとともに、プロジェクトメンバーを指導する立場でもある。

 

 

参考文献・引用元

このサイトのテキストは一部以下の著作・出版物・Webサイト等より引用させて頂きました。

 

改訂7版 PMプロジェクトマネジメント PMBOK®ガイド対応 単行本 – 2022/3/25 中嶋 秀隆 (著)

 

PMBOK第7版実践活用術 最新プロジェクトマネジメントのすべて 単行本 – 2024/5/30 中谷 公巳 (著)

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